ドローンを買う前に
- 2018/02/06
- 17:19
吾輩は子供の頃から写真や映像が好きだった。
陸上の撮影はもちろん、水中(海の底)の映像も撮った。
しかし、空からの撮影・・・所謂、空撮だけは出来なかった。
業務ならばともかく、趣味で、セスナやヘリをチャーターするわけにもいかない。
しかし、今は「ドローン」という空撮道具が開発されたので、その夢も現実となった。😄
イギリス在住の義弟が撮ったドローン空撮写真を見て「おお~!」と思い、昨年のGWに安売りセールをやっていたので、DJI社の「Mavic Pro」という製品を購入した。(画像の製品) 吾輩が購入した「DJI Mavic Pro」
そして、嬉々として飛ばそうと思ったら・・・
「グワ~ン!」・・・なんと言うこと!
自宅や会社周辺の公園も江戸川河川敷も、ことごとくNG(=飛行禁止)
これは「航空法」という法律や各自治体の「条例」によって、ドローンの飛行が制限されているからだ。
つまり、首都圏に住む者の場合、ドローンを買っても練習する場所すらないということ。(有料施設とかなら練習可能だが・・・)
ちなみに、首都圏のほぼ全ての公園は、重量200グラム未満のオモチャのドローンであっても飛行禁止となっているので、要注意!
でもって、仕方がないので、会社の室内でデビューフライトをしたら、本棚に激突して、カメラ部が破損!
早くも修理代1万7千円😂
【吾輩の対処】
10万を超えるドローンを買って「まあ、仕方ないか・・・や~めた」というわけにはいかない😥
そこで、吾輩の場合、次のような方法をとった。
知識面・・・「ドローン検定」という試験を通じて知識をつけた(1級取得済)
操縦面・・・合法的練習場所や有料施設で10時間以上の飛行訓練を実施。
前述のDJI社が認定する「操縦スペシャリスト」という民間資格も取得
許認可・・・行政書士に依頼し、国土交通省(東京航空局)の飛行許認可を取り
付けた。
こんなメンドクサイことをやったのは、冒頭で述べたとおり、空撮への憧れが捨てきれなかったからだ。
※ 現在、ドローンに関する国家資格や免許はない。
【簡単に飛ばせるが故のリスク】
この空撮映像は、吾輩がドローンを購入して、飛行経験2時間くらいの時に、初めて空撮らしきことをテストしたときの映像。(この河川敷は許可された場所です)
ちなみに、吾輩は、ラジコンとかの経験はまったくありません。
現在のドローンは、GPS等による姿勢制御装置が秀逸なので、この程度の映像なら、初心者でも、簡単に撮れてしまいます。
しかし、そこが、実は危険な落とし穴なのじゃ。
送電線などによる電波障害や水面反射によるGPSの誤作動など・・・操縦不能となるリスクは常に隣り合わせ。
「簡単~!楽しい~!」などと舐めてかかるとエライことになるだろう。
【法律の壁】
国土交通省の許認可を得たからと言って、どこでも自由にブンブン飛ばせるかというとそういうわけではない。
あくまでも、それは「航空法」という空の法律の上での許認可であって、前述の公園などには、「条例」、河川敷には「河川法」という地上の法律がある。
飛ばすには、それらを管轄しているところにいちいち電話し、許可や確認をとらなければならない。
また、田んぼの上空とかを飛ばす場合も、「民法」という法律が立ちはだかっている。
土地の所有者の上空300メートルまでは、その所有者に権利があるので、もしも、「お前、なに、無断で俺の田んぼの上で飛ばしてんだ!飛ばすなら金払え。嫌なら飛ばすな!」と言われたら、スルーすることはできない。
まあ、これで訴える人はいないだろうが、訴えられたら負けるだろう。
つまり、ドローンを飛ばして空撮するのは、かなりメンドクサイ手続きが必要ということ。
【アップデートとキャリブレーション】
メーカーのファームウエアアップデートが頻繁にあり、原則、それらは全て自分でやらなければならない。
よって、インターネットに接続できる環境は、必須だ。
購入店に持って行けば、やってもらえるかもしれないが、当然、その場合有料になるので、ほとんどのユーザーは自分でやっている。
なので、IT関係が苦手な人には苦痛であり、負担が大きいだろう。
また、長くなるので説明は省くが、『キャリブレーション』という作業も必要。
これを怠ると、ドローンはあらぬ動きをし、最悪、墜落する。
これも、自分で定期的にやらなければならないので、かなりメンドクサイ。
【リスクの高いバッテリー】
ドローンに使用される「リチウムポリマーバッテリー」(通称リポバッテリー)は、高出力だが、扱いがシビアだ。
舐めて、杜撰な扱いすると、出火して、洒落にならない住宅火災になるというリスクもある。
実際、価格が安いという理由で、メーカーの純正品以外のバッテリーや充電器を使って出火したり、墜落したという例もある。
従って、ドローンを所有するなら、そういう知識も持たなければならない。
【知識や操縦技術は必須】
ドローンを安全に飛ばすために、知っておかなければならない知識はたくさんあり、テレビゲームのような訳にはいかない。
吾輩も、ドローン検定を通じ、機体特性などの基礎知識に加え、工学・気象学、電気電子工学、法規(電波法・航空法・民事・刑事)など、幅広い知識を学んだ。
正直、そういう知識がなくても、ドローンを飛行させることはできるが、それは良識ある大人がやる行為とはいえない。
また、高性能なドローンといえども、空を飛ぶ物体である限り、落ちるリスクがゼロになることはない。
ただ、飛ばすだけなら、誰でもすぐに飛ばせるが、そういう不慮の事態にも対応できる操縦技術が要求される。
そういう技術もないのに飛ばすのは危険であり、無責任過ぎる。
知識も技術もなく、購入し、箱から出してマニュアルも読まずに、自宅の近所で飛行させるという行為は、自動車に喩えれば、小中学生が無免許で公道を走らせることと何ら変わりがない。
悲しいかな、ネット上では「墜落させちゃいました~!」とかいった類いの動画をアップしている人を見かけるが、そういう社会的モラルが欠落した人は、「こういう大人になってはいけない」という反面教師なので真似をしてはならない。
【支出】
安定して飛行し、まともな空撮ができるレベルのドローンを購入しようと思ったら、機体以外にもスペアのバッテリーやらなんやらすぐに10万円超の出費となる。
もはや、「大人の道楽」・・・という大義名分だけで、家庭の財務大臣の認可を受けることはかなり困難だろう(w)
また、前述の試験などの受験料や講習費も、総額にすると10万円近い出費となる。
さらに、後述する「保険」という出費もある。
従って、それなりの維持費がかかることを覚悟して購入しないと、後悔することになる。
【保険加入】
一部のオモチャのドローンはともかく、それなりの空撮ができるドローンを飛ばすならば、義務ではないが、賠償責任保険は入るのがモラルだろう。
車や電車や人の上に、落下させて「メンゴ~!コントロール不能になっちゃったから許してチョンマゲ」で許されることはない。
「保険なんて義務じゃないから入らない」という人もいるだろうが、それは自動車に喩えれば、自賠責保険すら入らないで公道を走るのと同じ。
自己中心的で無責任な考え方といえるだろう。
つまり、ドローンを飛ばすには、保険料という支出も発生することになる。
【メーカーは楽しい面だけしかアピールしてない】
まあ、イメージ戦略は、ドローンに限ったことではないが・・・
ネット上のドローンメーカーのCMを見ると、「わ~、楽しそ~!」「こんな映像、撮ってみたい!」「買っちゃお~!」と思わせるものが多い。
かくいう、吾輩もそれで購入した口だ(笑)
しかし、吾輩が知らなかったように、メーカーは、上記のようなリスクについてCMでは、一切触れていない。
もちろん、購入後のマニュアルとかにはきちんと記載されているが・・・
吾輩の知るところでも、買ってから途方に暮れた人は数知れない。
【まとめ】
ドローンは、誰でも素晴らしい映像が撮れる夢のような道具だと思う。
しかし、悪いことは言わない。
衝動買いする前に、上記のリスクについて検討した上で、慎重に購入されることをお薦めする。
「本当に、自分自身が、上記の全てについてクリアする覚悟があるのか?」
そう自問してから、買うほうが賢明である。