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佐藤聖二先生を偲んで

 太氣拳・意拳研究ノート

吾輩が修行している拳法『太氣至誠拳法』の兄弟子である故佐藤聖二先生の待望の著書が日貿出版社より発刊されました。

この本は、弟子の為に2009年11月~2015年4月までの5年と5ヶ月に渡って投稿されたブログの記事をそのまま書籍化したもの。

吾輩自身は、ご存命中にリアルタイムでブログを隅から隅まで読ませていただいておりましたが、まさか、ここまで全てを網羅した状態で書籍化されるとは思いませんでした。

お宝のようなブログだったので、閉鎖されてしまうことを危惧していただけに、本当に嬉しい限りです。

494頁という大ボリュームで読み応えがあり、太氣拳・意拳を学ぶ人に限らず、武道を追求される方にとって、ヒントになることが随所に書かれた珠玉の本だと自信をもってお薦めできます。

 ブログ本

ただし、いわゆる日記的な記事もありますが、拳理については、かなり専門的な内容となっており、30年近く続けている吾輩でも、意味不明(要するに吾輩が、未だ体認できていないという意味)の箇所が多々あることも確かです。

そもそも、王向齋先生の拳理は、奥が深すぎて容易に理解できるわけがない。

しかし、これは言い換えれば、それだけ奥深いことが書かれている、謂わば「バイブル」のようなものであるということであり・・・名前も「」でしたが(^_^)・・・薄っぺらい内容の一時限りの読み物ではありません。

今、書いていることの意味がわからなくても、修行・稽古を積んでいくうちに、また読み直すと、意味がわかるようになってくる本。

「拳聖 澤井健一先生」もそうですが、この本も、そういう・・・本当にお宝のような本だと思います。


佐藤聖二先生の思い出

失礼ながら、吾輩にとっては、聖二先生というよりも、兄弟子の「聖二さん」と言う方がしっくりくるし、生前もそう呼ばせていただいておりましたので、以降、親愛の念を込めて「聖二さん」とさせていただきます。

聖二さん  佐藤聖二先生(本より)

聖二さんとは、澤井健一先生がご存命であった頃からのおつきあいとなりますが・・・

神宮での聖二さんの、組み手は、吾輩の印象としては、手が虫の触角のような動きをし、どこを見ているか焦点のあわない眼で、不気味な怖さがありました。

普段は年下に見えるような童顔で、温厚なのに、組み手になるとかなり激しかったことを覚えています。


19881113太氣拳神宮組 1988年の明治神宮での組手稽古(左が聖二さん)

 澤井先生がお亡くなりになったあとも、聖二さんは「意拳拳学研究会」を主宰されていたので、根津神社での稽古にも、何度かお邪魔させてご指導いだきました。


激辛中華の『巴蜀

生前、聖二さんは、東京の岩本町で中華料理店「巴蜀」を経営。

自ら厨房で鉄鍋を振り、本格的四川料理を提供されていました。

その激辛ぶりは凄まじく(笑)、グルメ雑誌とかにも取り上げられる人気店でした。

吾輩も、四川料理が好きなので、何度も足を運んだことがありますが、いつも尻から火がでそうな美味さでした。

あの激辛麻婆豆腐がもう食べられないのが残念です。

麻婆豆腐  巴蜀の麻婆豆腐(グルメサイトから転載)

なお、聖二さんは、2015年の2月から2ヶ月くらいの間、前述のブログに本格中華料理のレシピもアップされていました。

今思うと、自分が生きた証として、料理のレシピも残しておこうと考えていたのではないかと思います。

本人は「料理のレシピをアップしてから、急にブログのアクセスが増えた」と苦笑していましたが・・・笑

吾輩も、料理は好きで、四川風中華料理もよく作るので、今度、聖二さんのレシピを見てチャレンジしてみようかと思います。


もっと研究したかった

2014年、聖二さんが、体調を崩し入院され、拳法仲間とお見舞いに行ったときに、本人の口から「肝臓癌で余命わずからしい・・・」と聞かされたときには、本当にショックでした。

聖二さんは、拳法は大先輩ですが、年齢は吾輩と同じでしたから・・・


そのときに、聖二さんが、ポロッと独り言のように漏らした言葉が今も忘れることができません。

「まさか、こんなことになるなんて・・・もっと研究したかった・・・」

「あれだけ、深く研究されてきた方が、もっと先を求めたくても出来ないというのに、俺は何をやっているんだ・・・」

自分が恥ずかしくなりましたね。



命を削ってのマンツーマン指導

聖二さんが退院され、西日暮里の公園で朝、弟子に稽古をつけていると聞き、図々しいことは百も承知で、吾輩にも稽古をつけていただけないかとお願いしました。

「長い付き合いだし、職場もここ(公園)から近いようだから、特別に9時から病院に行く10時までの1時間でも構わないなら来てください」ということでOKを頂きました。

もちろん、有料レッスンです。



2014年の9月~2015年の1月にかけて、合計30日間、文字通り手取り足取りマンツーマンで指導していただくことができましたが・・・・

毎回、濃厚で重要なことを教えていただけるので、覚えることが多すぎて消化不良になりそうでした。

そこで、忘れないうちに、会社に戻ったら、すぐにビデオで自撮してその朝に習ったことを記録。

朝練のときの聖二さんは、顔色も良く、激しい動きはできないといいながらも、力は凄いものがあり、「もしかしたら、もう癌は治っているんじゃないか?」と思うほど普通のご様子でした。


しかし、今考えると、本当は、激痛と戦いながらも、それを顔に出さないようにして、残された時間を惜しむように、少しでも自分の学んできたことを我々に伝えようとされていたのだと思います。

本当に有り難いことでした。


聖二さんは、おとなしい顔で性格も温厚ですが、こと拳法のこととなると歯に衣をきせぬ大変、厳しい方でした。

言葉では、「もう長くやっているあなたに私が教えられるようなことはありませんよ(^_^)」といいながら、いざ、稽古になると

「そうじゃない!こう!」
「そんなことやってたら永久に力は得られない」
「今の動き、それは何の意味(目的)があってやったんですか?」

と大変、手厳しい。

しかし、その全てに裏付けとなる道理があり、きちんと、それを丁寧に説明していただけました。

口には出されなかったものの、覚えが悪い吾輩を見て、さぞかしもどかしい思いをされていたことだと思います。

上手くできたときの(感覚がつかめたときの)「そう、そう、そうです」という聖二さんの声は、一生忘れないでしょう。


立たなきゃ何も始まらない

30日の間に、何度も聞いた言葉が、この言葉でした。

「みんな、いろいろな技を覚えようとしたり、教えた動きをやたら回数練習とかするんですけど・・・立たないんですよね・・・・どんな動きも、立ってナンボのものであって、立たなきゃ何にも始まらないんですけどね・・・どうして、みんな、これほど言っているのに立たないんですかね?」

聖二さんの言う「立つ」とは正しい立禅(站椿)を長時間立つ(最低一時間)という意味です。

「澤井先生を始め、王向齋先生の高弟と言われる人達は、みな二時間当たり前のように立っていた」という話もされていました。

吾輩は、その訓戒に従い、最低でも毎日、一時間立つようにしていますが・・・ただ、時間が長いだけではなく、「正しく立つ」という前提をきちんとしないと、長く立つことで逆に弊害がでることもあるので注意は必要です。


聖二さんは、大のお酒好きでもあり、お元気な頃に、何度かご一緒しましたが、
楽しい酒でした。(いつも奥様を気にされていましたが…笑)

吾輩が病気を代わることはできないけれど、酒を我慢することくらいなら吾輩でもできることなので、聖二さんの病気が快復するまでの間、我輩も大好きな酒を断ったり、毎月の滝行で快復祈願とかもしてみましたが、運命に抗うことはできず、先に逝かれてしまいました。

聖二さんの命日の6月9日には、早朝誰も来ていない、お墓の前で、独り二時間立ち、その後、用意した酒で、聖二さんと稽古の近況報告をしつつ、バカ話などをしています。

傍(はた)からみたら、かなりヤバイ光景なので、参拝者が多い昼間にはできないし、稽古仲間に一緒させるのも酷です。(笑)



本を読んだだけじゃ何も始まらない

『バイブル』とも言える「太氣拳・意拳研究ノート」も、読んだだけでは意味がないと思います。

自分が稽古していく中で疑問に感じたことのヒントが、本のどこかに書かれているかもしれないので、熟読しそれを探し出し・・・

ヒントが見つかったら、それを日々の稽古で意識してみる。

そして、また・・・つまづいたら読み返してみる。

練度が上がっていくにつれ、昔は意味不明だったことの意味がわかるようになると思いますし、吾輩自身もそうしていこうと思います。

本棚にしまってしまうことなく、ボロボロになるまで、この本を役立てることこそが、聖二さんが望んでいることではないかと・・・・吾輩は思います。


注1: 書籍表紙及び著者の画像は、出版元(日貿出版社)の許諾を得ています。

注2: 稽古風景の写真は、吾輩が撮影したものです。



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whitechipshark

Author:whitechipshark
好奇心旺盛、止まると死んでしまう回遊魚系の中年オヤジです。

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