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プロレス道場で稽古(CACC体験セミナー)


【CACCとは?】

土曜の午後は、宮戸優光先生が率いるU.W.Fスネークピットジャパン(東京 高円寺)にて、CACCの講習会に参加してきました。

集合写真 



CACC』とは、キャッチ・アズ・キャッチ・キャン(Catch as Catch Can )の略。

キャッチ・アズ・キャッチ・キャンとは、イギリス、ランカシャー地方の方言で、「やれるものなら やってみな」という意味。

プロレス、アマレスの起源である格闘技で、
その起源は、古代ギリシャ時代に遡るもので、2000年以上の歴史があるそうです。

歴史やテクニックについては、下記の本に書かれています。

CACC プロレスの教科書



CACC.jpg 



U.W.Fスネークピットジャパンは、1999年に設立されたプロレスリングのジム。

スネークピットとは、虎の穴ならぬ『蛇の穴』の意味で、
1950年初頭に創設されたイギリスの【ビリー・ライレー・ジムの通称。

ビリー・ライレーは、ビリー・ジョイスカール・ゴッチビル・ロビンソンという名レスラーを数多く輩出した、伝説のイギリスのプロレスラー。

ビリージョイス  ビリー・ジョイス

カールゴッチ カール・ゴッチ

ビルロビンソン ビル・ロビンソン


宮戸優光先生は、歴史あるCACCの素晴らしい技術体系を後世に残そうとご尽力されています。




【なぜプロレスのジムに?】


なぜ、56歳の一武術愛好家に過ぎない吾輩がプロレスのジムでのセミナーに参加するか疑問に持たれる方も多いでしょう。

吾輩を含め、一般的な人が抱く「プロレス」のイメージからすると、そう思うのも不思議ではないと思います。

プロレスというと、過酷なトレーニングに耐え、鍛えに鍛えた屈強な男達が戦う我々とは無縁の別の世界。

観ることはあっても、生涯やることはない世界・・・はたまた流血地獄(O_O)

アンドレ アンドレ・ザ・ジャイアントとアントニオ猪木

しかし、今日のセミナーに参加し、そういう先入観は、きれいさっぱりぶっ飛びました。


【本やDVDだけではわかったつもりに過ぎない】


CACCについては、数人の武友がU.W.Fスネークピットジャパンに所属しているので、名前は知っていましたが、具体的にどういうものかは知らなかったので、事前知識として前述の本やDVDは購入していました。

その上で、吾輩が基軸としている拳法との共通性などを見いだすことができ、また、今、ぶつかっている壁を打破するヒントも得れそうだったので、今回のセミナーに参加することにした次第ですが、やはり、「見るとやるとは大違い」

やはり、実際に直接指導を受け、生身で体験してみないと細かいニュアンスなどは映像や文章だけではわからないものです。



なお、吾輩は、何でもかんでもつまみ食いをし、結局、何も身につかない、所謂『セミナーマニア』ではありません。

自身が基軸としている武術と照らし合わせ、修行途上でぶつかっている壁をクリアする為にヒントになるような内容のもの限り、足を運ぶことにしています。

人生の時間は無限ではないので・・・(^_^)




【CACCは一般人にも修得可能】

U.W.Fスネークピットジャパンには、現役のプロレスラーや総合格闘家も在籍していますが、所謂、一般人の会員も大勢在籍しているようです。

実際に体験してみて・・・・


CACCは、プロのレスラーとして身を立てようという人以外でも、きちんとした練習を積めば修得できる格闘技であり(もちろん真面目にやればの話しですが・・・)、我々一般人の護身術としてもすごく役に立つ技術だと思いました。

CACCは、単なる力任せのパワー勝負ではない、力学などの精緻な理論に裏付けされ、自分の身を安全なポジションに置きながら、絶妙に相手をコントロールするという高度な技術をもつた知的な格闘技


CACC講習風景 宮戸先生の指導風景

それゆえ、CACCは、柔道や柔術、合気道などと同様に、小柄な人間でも、自分より大柄な人間をコントロールすることができる優れた格闘技だと思いました。

むしろ、今日、柔道が「JUDO」になり、嘉納治五郎が提唱した「柔よく剛を制す」から程遠いパワー柔道になってしまったことを考えると、CACCのほうが遥かに、「柔よく剛を制す」の精神が宿っていると思います。

今日のセミナーの中でも、Fさんが、ヘッドロックから力任せに相手をコントロールしようとしていたのを見た宮戸先生が「それじゃ、ただの力任せ。レスリングじゃない!きちんと考えてレスリングしないと・・・」とアドバイスされているシーンがありました。


前述のCACCの達人、ビリー・ジョイスのレスリングは芸術的であり、力をまったく使わず、疲れることがなく。一人で次々に2時間ちかくぶっとおしのスパーリングができたそうです。(O_O)

神様レベルの達人とは言え、こういうエピソードやCACCの原理原則を知ると、今まで「組技はスタミナ勝負であり、年をとったら無理」という概念も間違いであったことを知らされました。


CACC講習風景02 宮戸先生の指導風景



【CACCは怪我が少ない】

武道やスポーツには、怪我がつきものです。

吾輩自身、背骨を折ったり、顔の骨を折ったりしたこともありますし、恩師の元で稽古をしていた20代の頃は、鼻血流血は日常茶飯事でした。

その点、CACCは、『怪我をしないこと』『安全第一』ということを優先しているので、怪我人が少ないのも特筆すべきこと。

怪我をして、明日からの仕事を休むことが許されない、一般の社会人にも向いていると思いました。

実際、今日のセミナーの中でも「相手側の脚を立てると危ない」「そこで脚をとると危ないからダメ」・・・など、レスリングや柔道で怪我をしやすい細かい点についても、宮戸先生はシビアに注意されていました。

このあたりの指導が、「相手を倒せばなんでもあり」という指導とは一線を画するものであり、宮戸先生の、プロレスラーとしての力量のみならず、指導者としての優秀さも垣間見ることができました。



【拳法との共通点】

吾輩は、学生時代は空手、社会人になってからは『太氣拳』という中国拳法を30年近く続けていますが、CACCは、この太氣拳と共通する身体の使い方が多く、そういう意味でも今日のセミナーは大変勉強になりました。

5月24日に発刊された空手の横山和正先生の著書『瞬撃の哲理 沖縄空手の学び方』にこんな一節があります。

「本来人間の行っている効率の良い有効な動作にそれほど極端な違いはなく、更に動きは洗練され進化するほどに余分な部分が削ぎ取られ、真理に近づくものです。その真理こそが訓練の結果であるとすれば、すべての武術や武道の行き着く境地は同じものであると考えています。」

また、吾輩の恩師、故澤井健一先生の師である大成拳の創始者である王薌齋先生も次のような言葉を残されいます。

学拳只有是非之分 不可有門戸之見』・・・拳学には、ただ是と非の区分が有るのみで、流派的見解など有ってはならぬ

やはり、先人が膨大な年月をかけて磨いてきた本物の武術、格闘技は、同じ原理原則に辿り着くということでしょう。



具体的な共通点ですが・・・(あくまでも私見です)

【歩幅(スタンス)と前後のポジション】

太氣拳では、「歩幅が広い者に名人はいない」として、ガッチリと広いスタンスで居着くポジションを戒めています。

吾輩自身、学生時代にしみこんだ空手の癖があった為、『歩くように自然に』という歩法が出来るようになるまで随分と年月がかかりましたが、狭い歩幅だと、迅速かつ臨機応変な移動を行うことができ、相手の攻撃を受けるときも攻撃するときもとても楽になります。

下の画像は、吾輩の試合や他流派との組手交流会での組み手シーンですが・・・

歩幅は狭くとっているため、動きやすく、腰高に見えますが、瞬時に低くなることも大きく動くこともできます。

低い姿勢でガッチリと大股でなくとも、まったく支障がないばかりか、その後の変化が自在になります。


太氣の構え 

また、この写真では、構えの際も激しい攻防の際も、前傾姿勢はとらず、頭も天に向け真っ直ぐになっています。(白い垂直線に注目)

太氣拳やその源流の大成拳(意拳)では頭を立て、体軸に天地を意識し、前のめりの姿勢や頭だけ前傾させるような姿勢を戒めています。

立禅(站椿)という独特の稽古法に時間をかけるのも、一つには、そういう理由があります。

立禅  立禅(站椿)



CACCの基本ポジションも、歩法も理屈はまったく同じでした。

オリンピックなどで一般的に馴染みの深いレスリングの構えは、深く前傾させたものです。

ルールによる違いなので、良い悪いということではないと思いますが、レスリングの起源でありフリースタイルのCACCでは、前傾姿勢はとらないそうです。

このポジションが、吾輩的に、拳法の組み手にも抵抗なく受け入れられるという理由です。

レスリング 



下の画像は、CACCの教則本(前掲の本)に掲載されている宮戸先生の写真ですが、スタンスは腰幅で前後も狭く、頭頂はまっすぐ天に向いています。

細かい点では、微妙に異なる点もありますが、このポジションをとることの原理原則は、まったく同じでした。



CACCの構え 


居着いてはダメ、だけど動き過ぎもダメ


拳法の組み手では、居着いてしまうと相手に照準を定めさせることになるので、常に微妙に動いていることが重要ですが、だからといってむやみにフットワークを使って相手を攪乱されるようなことも無駄と教えられてきました。

そもそも、スタミナのある若い頃ならともかく、60代、70代になって軽快なフットワークなんかで攪乱しようにも、動きまわることで息があがってしまうでしょう(笑)

CACCでも、「自分からはむやみに動かず、相手の動きに合わせて必要なだけ動き、居着かない」ということを強調されました。



吾輩は、2016年の散打の試合や今年の組み手の稽古会で、組技が得意な相手にヘッドロックから投げられたりしたことが悔しかったので、その対策の意味でCACCのセミナーに参加した次第ですが・・・・・

知りたかったのは、投げ方云々ではなく「何故、投げられる態勢になってしまったのか?そうならない為にはどこでどう対処したらいいのか?」という点でした。

そして、その根本原因は
やはり居着き」と「力み(踏ん張り)」でした。



相手と接触する前や、腕で接触している段階であれば、歩法を使ってある程度、自在に動けても、首根っこをつかまれたりすると、「投げられまい」と本能的に踏ん張って居着き、結果、相手に有利な状態にさせてしまっていたということです。

今日のCACCのセミナーでは、そのあたりのヒントを沢山いただくことができました。

そのヒントの詳細を知りたい方は、是非、CACCのセミナーに参加し、ご自身で体験されることをお薦めします。

もちろん、知ったことと自然にできることはまったく別物ですが、この原理原則を知ることができただけでも参加した意味がありました。




【手首のコントロール】


CACCの技術の中核に、「相手にコントロールされずに、相手をいかにコントロールするか」というものがあるようですが、手首のコントロールもその一つです。

下の写真は、CACCの教則本の一部ですが、相手に片手または両手で手首をつかまれたときに、力任せではなく、テコの原理などを駆使し、スムーズに外し、同時に相手をコントロールするという技術です。

このテクニックは、レスリングだけでなく、護身にはとても役に立つと思います


また、打撃系の武道をやっている人が、組技系、サブミッション系の相手と対戦した場合に、要注意なのは手首をとられることです。

なので、こういう技術をつかまれた瞬間に、自然に反応し使えるようになっていると、かなり危険回避率が上がるとおもいます。


CACCの手首のコントロール 



この技術は、太氣拳にも『逆手(ぎゃくて)』という技術として継承されています。

これも、原理、タイミング・・・まったく共通するものでした。

残念なことに、門人でもこれを稽古しない人が多いのですが・・・

もっとも「逆手」は太氣拳のオリジナルというわけではなく、恩師、澤井健一先生が高専柔道で培った技術です。

関節技のことを、高専柔道では逆手と呼んだそうです。

CACCは、女性や護身目的の中高年にも良いと思います。



逆手  逆手



【相手の重心を感じて、相手の力を利用する】


太氣拳や意拳では、相手との接触した瞬間に、相手の力の方向や大きさを皮膚で感じ、重心を奪い、崩すという技術があります。

「推手」という稽古方法などで、これを練習するのですが、力任せではなく、冷静さを持って、相手をコントロールすることが求められています。


推手  推手


吾輩は、アライアンスジムの高阪剛先生に柔術を教えていただいていますが、高阪先生も「力でなくて、相手の重心を感じて、どうやってそれをコントロールするかが大事」と話されていました。

柔術 



今日のセミナーで宮戸先生も、まったく同じことを話されていました。

また、「力に頼るのはレスリングではない」とも。

吾輩自身、このセミナーを受けるまでは、

組技系は体力とスタミナがないと無理

パワーのある者には抗えない

と思っていましたが、それは大きな間違いでした。

もちろん、野生の熊のパワーには太刀打ちできないでしょうが(笑)



言葉では「身体で重心を感じて」とか言いながら、実際にデモンストレーションとなるとお茶を濁す指導者は少なくありません。

しかし、宮戸先生は、現役プロ格闘家を相手に、「こういう場合は、彼の重心がこう来てるからこうやって返す」と実際に幾通りもやってみせてくれました。

年齢も吾輩と一つしか違わず、身体もスマート。
それなのに、パワーも体格も勝る相手を簡単に返してしまうのだから、説得力にあふれていました。



若き日のカール・ゴッチが、CACCのジムに入門したとき、彼はオリンピックにも出場したヘビー級のレスラーでしたが、ジムの軽量級、中量級のレスラーに1分も経たずに極められ、歯が立たなかったそうです。

まさに「柔よく剛を制す」でしょう。

そういう意味において、かつての「高専柔道」が、そうであったように、CACCは、生まれつき体格に恵まれ力持ちの人間よりも、非力な人や若い頃は力があっても年と共に衰えに抗えない中高年こそ、学ぶ価値がある格闘技だと思います。



【千の技より原理原則】


今日、一番、腑に落ちた言葉です。

U.W.Fスネークピットジャパンのヘッドコーチであったビル・ロビンソン(惜しくも2014年に他界)は「千の技を覚えなくとも、原理原則を理解して応用できればそれで良い」・・・と力説していたそうです。

吾輩の恩師、澤井健一先生も、我々弟子に技の見本を見せながらも「こういう風になることもある。でも、いつもこうなるとは限らない。この技ばっかり練習しても意味がない。なぜ、こうなるかをしっかり研究しなさい」とおっしゃっていました。

今日は3時間超の講習時間内に、かなり盛りだくさんのことを教わったので、技の手順とかは、不器用な凡才の吾輩的には、消化不良気味です(汗)

※もとより、たった半日のセミナーで実用できるなどとは思っていませんが。

しかし、「なぜ、ここでこういう動きをする必要があるのか?」などの原理原則はよく理解することができました。

これだけでも、大収穫です。



【CACCの普及】

個人的には、CACCの初歩の初歩を垣間見ただけであるので、出来ることならば、U.W.Fスネークピットジャパンで指導を受け、もっと練習し、CACCを身につけたいと思いました。

しかし、自営業であり、毎日2時間の拳法の稽古時間を作り出すだけでも大変なので、物理的にそれは難しいのが実情です。

しかし、今、特に武道や格闘技をやっておらず、護身として、または競技として格闘技をやりたいと思う方には、力に頼らず怪我も少ないCACCはかなりお薦めです。

休まずに、継続して続けるには「怪我をしない」ということは重要だと思います。

また、空手や拳法などの立ち技、打撃主体の武道家、武道愛好家の方も、「自分には立ち技だけで充分」などと言わずに、視野を広げるという意味でも、今後、また開催されるであろう宮戸先生のCACCセミナーには是非参加して、体験されることをお薦めします。



最後に・・・

海外では有名でも、日本では、まだ知名度が低いCACCですが、今後、普及していくことを祈念いたします。

宮戸先生、紹介してくださった藤田さん、長時間、対人練習で
飲み込みの悪い吾輩に対し根気よくアドバイスをいただいた小出さんには、この場を借りてお礼申し上げます。




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Author:whitechipshark
好奇心旺盛、止まると死んでしまう回遊魚系の中年オヤジです。

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